今回はとても面白い飲み比べができました!!
    同じように作られたワインを、スクリューキャップとコルクの2種類にビン詰めしたものです。

    DSCN9778フリードリッヒ・ベッカー    ヴァイサーブルグンダー 2008
    ドイツとアルザスの国境シュバイゲン村、カルクゲシュタインという石灰岩土壌の畑のヴァイサーブルグンダー(ピノ・ブラン)種を、すべて手摘みし丁寧に搾汁、発酵。オークの大樽で熟成させています。
    たった1樽分しか作っておらず今まで日本には入荷がありませんでしたが、輸入元(ヘレンベルカー・ホーフ)さん主催の蔵元を巡るツアーで一緒にバーベキューをした際に、普段は強面でとっつきにくいベッカーさんが楽しい雰囲気に心を開いたのか、日本にも分けてくれることになったそうです。すごいですね!!
    そして日本に到着し出荷をしようとしたところ、スクリューとコルクがあることが判明しました。なぜ二種類になったかは、只今確認をしていただいております・・・前置きが長くなってしまいすいません。

    スクリューキャップ
    液質:注ぐ時サラっとしている
    色:透明に近いうすい黄色
    香り:フレッシュなレモンなどの柑橘系
    味わい:堅さを感じさせるカチッとしたミネラル感。ピチピチしたフレッシュな酸。すっきり辛口ですが、最後にふわっと香るハチミツのような余韻がホッとします。
    食べ物:焼き魚や野菜料理、水炊きなど。素材の旨みを生かしてくれます。

    コルク
    液質:少しトロっとした粘性がある
    色:スクリューより濃いめの、うすい黄色
    香り:ハチミツ漬のレモン、黄桃に似た甘い香り。
    味わい:ミネラル感はあるが円やか。やや辛口でコクのある厚み。甘ったるくないのは、穏やかであまり主張はしていませんが、きちっとした酸が全体のバランスを整えてくれているおかげでしょうか・・・余韻はハチミツですが、長さが全然違います。じわ~んといつまでも口の中をハッピーにしてくれます!
    食べ物:シュークルートやポトフ、鶏や豚のシンプルなローストなど、淡泊だけどジューシーなお肉でも充分対応してくれそうです。

    味筋は似ていますが、酸の出かた、香りや味のひらき方が全然違いました。どちらも旨みや果実感はイキイキしていて本当においしかったです。コルクが呼吸しているのもよくわかりました。ベッカーさんもどちらにするか実験したのかもしれませんね!同じワインを、食べるものやその日の気分で選べるなんておもしろいです。栓の仕方でこんなにも味が変わって、今後この違いがどのように変化するのかも楽しみです!

    初めてジェロボアムにワインを買いに来た時、薦めてもらったのが(別の蔵元でしたが)ピノ・ブランでした。接客中の話だけでも楽しかったのですが、飲んでみたらドンピシャでとても感動しました。そこからワインを意識して味わうようになりました。ワインにはまったきっかけになった品種です。そこから約2年、たくさんの感動するおいしいワインと出会うことができました。そんなワクワク感や心に響くワインはどれも丁寧に心をこめて作られていて、知識の少ない私でも素直においしいと思えるものでした。ジェロボアムはそんなワインでいっぱいです。まだまだ小難しくて敷居が高いと敬遠されがち(以前は私もそうでした)ですが、実はもっと素朴な農産物であり、身近に楽しめるということを一人でも多くの人に伝えていきたいと思います。(記事:市村)

    ※この記事は今年1月まで、まる2年、当店でワイン修業?した市村が書いた卒論です。当初ワインのコメントなんて全くできなかった彼女が少しずつ成長していくのを見てきました。日々の業務に追われるばかりで、たいして指導できなかったことが悔やまれましたが、いやいや立派なものです。今はご主人とふたり、福岡で飲食店を立ち上げるべくがんばっています。この二人なら必ず良い店ができるはず。今から訪問が楽しみです。


    生産者:ピエール&カトリーヌ・ブルトン
    生産地:ヴーヴレー(フランス/ロワール地方)
    DSCN1189白い花やレモンのような爽やかな香り。
    口に含むとピチピチしたフレッシュなぶどう果汁。味を色で例えると黄色に近いきみどり色のような印象。ひと口目から「おいし~ッ!」とちょっとテンションがあがります。
    その後もじ~んわりとパイナップルのようなトロピカルで甘くほろ苦い幸せなひと時が続きます。甘ったるく感じないのは、ちょうどいい酸のお陰なのが後でわかります。最後に少しだけ優しい酵母の余韻。
    なかなか現実的ではないですが、オマール海老がゴツゴツ入っているサラダなんかあったらサイコーだな・・・と妄想しつつ、独り幸せな気分に浸ってしまいました。
    ラベルもおもしろく、マッチョな人もこれを飲むとじわじわと体にワインがしみわたってゆる~くなってしまうかも、というイメージでしょうか?!
    ロワールの自然派夫婦が、石灰土壌の畑に植えられたシュナン・ブラン種を充分な熟度の上昇を待って手摘み。低温で自然発酵して醸したフルーティーなやや甘口の白ワインです。同生産者の造るブルグイユ(赤ワイン)もとてもきれいでピュアなカベルネ・フランでした。 (記事:市村)
    (ジェロボアム価格¥2700)


    DSCN0749フランス東部、スイスとイタリアの国境と接するサヴォワ地方のティオリエ家が営む歴史ある蔵“イディル”。今回ご紹介するのは、岩だらけの石灰土壌の痩せた山岳地で厳しい気候条件のもと育つルーセット種(地元名:アルテス)から造られた白ワインで、繊細さと力強さを兼ね備えた“キュヴェ・エミリー”です。
    試飲した時は、白ワインなのでとりあえず冷やして・・と8度位まで下げていましたが、香り味わいともにキュッと締まった状態で、樽熟成の影響からかタニックな印象でしたが液温上昇とともに打ち解けてきました。ローストした洋梨やヘーゼルナッツの香り、石を擦り合せたとうな・・と表現されるミネラル香、焼きたてのパンの香り。樽熟成と乳酸発酵で円やかな仕上がりですが、冷涼な土地らしい引き締まった、そしてもともと堅い性質なので、数年熟成させるくらいのほうが美味しいワイン。
    当店に届いて2年近く経過した2006年もいよいよ飲み頃です。ボーフォールやトムなどサヴォワのチーズ・乳製品とはもちろん最高の相性で、山のワインは野菜や川魚など山の食物によく合うので是非お試しください。
    ジェロ店頭価格:2800円(記事:安藤)


    DSCN0901サーモンを使った美味しい料理は・・みたいな話をしていた時のこと、当店のスタッフふたりは“サーモン・ムニエル”、僕と家内は“サーモン・フライ”と意見が分かれ、それなら来月にでも機会をつくり、ふた通りの料理を用意して対決しよう!!ということになりました。
    ・・と、まったくの内輪の話で申し訳ないのですが、自分たちが選んだメニューの美味しさを確認するべく晩ご飯にサーモン・フライを家内が作り、そしてせっかくだからと僕が合わせたワインは、マタンザス・クリーク・ワイナリー、ソーヴィニヨン・ブラン2007年

    カリフォルニア州ソノマ郡ヴェネット・ヴァレーで1970年代後半にサンドラ・マックヴェール女史が設立。ラヴェンダー畑に囲まれた美しい葡萄園は彼女とご主人のビルさんの情熱と有能な代々醸造家達のサポートによって、ソノマ地区のみならずアメリカを代表する銘醸と位置づけられるほどになりました。10年くらい前、この蔵元の“Journey”という銘柄のシャルドネとメルロを試した時の感動が忘れられない僕にとってまさに“カルト・ワイナリー”で、2000年の大手ジャクソン・ファミリーに買収されたニュースは本当にショックでした。でも経営が代わろうともこの葡萄園が生みだすワインは相変わらず素晴らしく、今回のソーヴィニヨンも見事でした。若草とも例えられるこの品種特有の青い香りはなく、アプリコットやルビー・グレープフルーツのほか、微かにヨーグルトとジュニパー・ベリーの香りも。全体の2割ほどをオーク樽で熟成させていますが、少し感じる炭酸ガスが若々しくフレッシュな印象で、酸は弱めですが、わずかな苦みを残す後口が爽やか。
    ・・というわけでサーモン・フライと合わせてみたのすが、レモンを絞りタルタル・ソースを添えるとまさに一体化する好相性。でもこのワインにない青い香りは、ちょっとあるくらいのほうが相性良かったかな・・という感じで、本番でどんなワインを用意すればいいのか良いヒントが得られました。ふっふっふ、決戦が楽しみになってきました。(記事:安藤)
    ジェロ店頭価格:3200円です。


    DSCN0917シャンテ(ダイヤモンド酒造)プティ・シャルドネ 2008
    昨年もたくさんのワインをテイスティングする機会がありました。その中のベストを決めることはできないですが、生産国別に考えてみて、印象的だったワインがもっとも多く感じられたのは実は日本でした。
    ファッションなどと同じようにワインにもその時代に合うモードのようなものがあり、たとえばバブルの頃なら完熟果実の濃厚な旨みや樽熟成のニュアンスが強く表れたゴージャスなワインがもてはやされ、省資源や環境保護が強く叫ばれはじめた近年では、ゴージャスの対意語が似合うようなスタイルというと語弊があるかもしれないけれど、素材感重視・ナチュラル志向のワインが増えました。ワイン造りの現場では求められる技術・手法も変化してきて、先進国の時代のスタンダードが日本にも影響を及ぼしました。
    昨年試す機会があったワインの一部ですが、長野県の小布施ワイナリーさん(ソガ)の一連のワイン、山梨県津金のボー・ペイサージュさんのワイン、同じく山梨県勝沼のイケダ・ワイナリーさん、ダイヤモンド酒造さんなどのワインはどれも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれて、一昔前のように?日本人としての贔屓目もその逆の意識もなく、世界に誇れるレベルにきていると感じました。日本の現在のワインは海外のモードのコピーでは決してなくて、良いところだけをしっかり選んで取り入れた結果のものなのです。
    おすすめしたい国産ワインはたくさんありますが、今の一押しがこれ・・・ダイヤモンド酒造さんの“プティ・シャルドネ”。発売されてすぐ仕入れて前情報がない状況での試飲。
    黄色みの強い輝きのある色調、瓶底には白く固まる酒石が見られます。樽熟成・乳酸発酵を行ったことを表すバニラ・ヨーグルトの香り。コンポートの洋梨や桃、白いバラの花。元気いっぱいの果実味、鮮度の高い酸、酒精分が目立たないきれいな後味。同蔵元から、複雑さで勝るシャルドネ“ジューヌ・ヴィーニュ”2007年産(ジェロ価格:¥2900)もお薦めですが、飲むタイミングとして・・今なら絶対“プティ・シャルドネ”です!
    ジェロ店頭価格:2000円 (記事:安藤)


    DSCN0741スペイン・バスク地方のおっちゃん御用達?のチャコリをご紹介します。
    ラベル上にも描かれているように海(ビスケー湾)を見渡すような丘陵で栽培されているオンダラビ種から造られるワインで、発酵時に生じる炭酸ガスを残した状態でビン詰め、出荷されます。香り味わいともに繊細なワインなので、輸送には向かず、生産量のほとんどが地元で消費されるようです。
    口が広めのコップに、近い位置から注ぎ始め次第に瓶を高く上げ、落差をつけて「じゃぼじゃぼ・・」と注ぐのが本場流。実際飲んでみると微炭酸のワインが泡立ってなんとも爽やかで、香りもさらに増しているような感じ。                  いやいや、味うんぬんよりも、じゃぼじゃぼで、なんだかテンションが上がってしまうところがいいのかも・・。(どなたかのサイトに画像があったりしますので探してみてください)
    ジェロボアムでは輸入元さんのコンテナの間借りで一緒に入れてもらっている銘柄“ULACIA”を扱っていますが、現在庫の2008年産は本気で旨いです。熟す直前のバナナやら青リンゴみたいな香りがあって、辛すぎないところが良いと思います。
    当店直営のレストラン“Ca Sento”でもお食事の前半にお薦めしていますが大好評です。ジェロ店頭にもありますので是非お試しくださいね。(価格は2400円です)


    DSCN0827日本の夏から秋の風物詩の一つであるデラウェアが、山梨の万力、金井醸造さんの手によって、すばらしい辛口ワインに仕上がりました。
    香りはもちろん、口に含むと、太陽をいっぱい浴び、化学肥料等を使わず、完熟になるまで大切に育てられたデラウェアそのものの果実味が、頭のてっぺんまで広がります。
    大根のなます、あっさりおだしで炊いた蕪、柑橘のきいたポン酢をつけるお料理など、日本のワインだけに和食ととても相性が良さそうです。
    (記事:市村)
    金井醸造場さんのワインは造り手の希望により、店頭販売のみとさせて頂いています。(ジェロ参考価格:¥2200)→11/24完売しました。