DSCN0914とてもピュアで繊細なまさに“THE ピノ・ノワール”という一本です。
    抜栓直後は酸味を感じ、少しタンニンが後口に残りえぐみを感じますが、時間の経過とともにじわじわっと甘みが表れ、心地よい余韻となって続きます。この間約20分。このワインの魅力はそこからです。マーマレードやみかんのような柑橘系のアロマ、土壌のミネラル成分に由来する花の香りや甘い樽香、奥の方には妖艶な色気を漂わせています。飲まれるときには高めの温度(16~18℃)がお薦めです。抜栓して20~30分後が良い感じですが、すぐに飲みたい場合は大きめのグラスやデキャンターを使ってみては。半年から一年後くらいにはもう少し落ち着いて、よりバランスがとれそう。
    豚や鳥のローストを岩塩で仕上げたお料理などシンプルな味付けが、エレガントで繊細なこのワインには合いそうです。ピノ・ノワールが好きな方というよりも、ブルゴーニュが好きな方にお薦めしたい蔵元ジャン・グリヴォのワインです。
    ジェロ店頭価格:3300円 (記事:市村)   


    DSCN0871スペインを代表する産地、リオハの赤ワインをひとつご紹介します。
    オスタトゥ”と発音するのでしょうか。リオハ・アラヴェサ地区の蔵元で、80年代後半からボルドー・サンテミリオンのChateau l’Angelus(シャトー・ランジュラス)の協力を得て急成長を遂げています。
    樹齢40年~50年のテンプラニーリョ種を高熟度で手摘みして厳選した後、温度管理可能なステンレス・タンクで発酵。フレンチ・オークの小樽で12ヶ月間の熟成を経ていますのでCriansa(クリアンサ)を名乗れますが、この2005年産から熟成期間による分類が簡略化されてラベル表記は上位のReservaのみとなっています。
    ブラックベリーやドライ・プラム、ビターチョコ、杉などの豊かな芳香。充分に熟れた果実から抽出しされた甘苦さを含んだタンニンがあって、ややコンパクトな仕上がりですが均整のとれた良い出来の中重口の赤ワインです。
    欧米での評価が高いワイナリーですが未だ日本への決まったルートがなく、前出のチャコリと同じコンテナでジェロボアム用ロットとして輸入代行してもらっています。この2005年は初輸入から1年半くらい経ちましたが、ほどよく余計な力が抜けてきていて、とても良い状態です。(完売)
    ジェロ店頭価格:3000円(記事:安藤)


    DSCN0854まるで本屋さんのように色とりどりのラベルが並んでいるジェロボアムの棚。その中でも一度は目に留まり、気になっていた方も多いのではないでしょうか・・・。この可愛らしい月の形のラベル。当店に入荷したのは1年位前で、外観と異なる本格派の味わいに驚きました。伝統的な高級ローヌ・ワインがもつ堅固さと野性味が特徴的なフルボディーでしたが、今はいい感じに落ち着いて飲み頃を迎えています。グルナッシュ種主体シラー種をブレンドしており、ローヌ産ならではのスパイスやハーブの香りが鼻からフッとぬけていきます。ローストビーフやステーキ、鴨肉などジューシーな赤身のお肉と一緒に食べると、口の中でソースの役割もはたしてくれそうです。
    ワインとの出会いもご縁です。ワイン選びに困ったときは、たくさんのラベルの中で目が合ったものや好きなデザインを選ぶのも、好みの一本に出会う一つの方法かもしれません!(記事:市村)   税込価格:3500円

    ※このワインは業者さんに少量輸入代行してもらったスポット商品です。La Remejeanne(ラ・レメジャンヌ)という家族経営の小さな蔵元さんで、近年の主流となっている果実味たっぷりの造りではなくミネラリー&スパイシーで堅い味筋が日本の市場にはウケ難いのか、最近は正規輸入元さんが決まっていないようです。頑固に昔風なワインを造るこんな良い蔵元さんを応援していきたいと思います。(加筆:安藤)


    DSCN0859フランス南西地方の歴史ある生産地区ガイヤックの重要ドメーヌ“プラジョール”。絶滅しかかっていた土地の伝統品種、プリュヌラー種やデュラス種、オンダンク種などの復活に取り組んできた偉大なヴィニュロン、ロベールさんと息子のベルナールさんが運営しています。
    今回ご紹介するのはシラー。ローヌ北部の銘醸地をはじめ、南仏ワインの主要品種として知られていますが、南西地方でもこのACガイヤックやVdPマルマンデなどでも重要度が増しています。もともとスパイシーという表現が多い品種ですが、このワインはスパイス香のほか、鉄分を含んだ黒土っぽい香りを強く放っていて、この品種特有のスミレとも表現されるエキゾチックなアロマを上回っている印象。黒みのある深い色調で、味わいはかなりドライ。同じ南西地方のACマディランのタナ種のような粉っぽいタンニンを含んでいますが植物的なものではなく、充分に熟れています。試飲用の小さいグラスから大き目のものに変えると甘みが出て舌触りも滑らかになり、大地がもつ温かさとでもいうのか・・なんともいえない優しい味わいへと変わります。
    このワインは、しっかりコクのある肉料理と一緒に楽しむのが理想的です。鉄っぽい香りには白身肉ではなく赤身肉でしょう。現地の人たちなら野性味のあるジビエ料理に合わせるはず。
    この蔵元によるモーザック種を使用した発泡性ワイン、ミュスカデル種の白ワインも見事ですが、ヴァン・ジョーヌのような酸化熟成による“ヴァン・ド・ヴォワル”、貴腐菌を成就した葡萄を用いる偉大な甘口ワイン“ヴァン・ドータン”も忘れられない銘酒です。
    ジェロ店頭価格:2600円 (記事:安藤)


    DSCN0839南仏プロヴァンスで秀逸な赤ワインを生む産地といえばBANDOL。この地で早期から有機栽培(ビオディナミ)を実践している注目すべき蔵元“トゥール・デュ・ポン”から届いた新着ワインを試飲しました。
    しっかりとした骨格のある長期熟成向きのワインが多い産地ですが、この年は軽めに仕上がっています。ブラックベリーやむらさき色の花の香り。飲み口はとても優しく、甘く感じさせるようなフルーティーさと心地よい渋み、黒オリーブのような余韻が残ります。
    赤ワインが苦手な方にも是非お試しいただきたい1本。南仏らしくブイヤベースやニンニクを使った白身魚の香草焼きに合いそうです。これからの季節、クリスマスパーティーでハーブの効いたローストチキンや、シナモンがたっぷり入ったシュトーレンとご一緒に!!
    (記事:市村) ジェロ参考価格:3500円